MACROSS ZERO

 1982年に制作・放送された「超時空要塞マクロス」の生誕20周年記念として制作されたOVA「MACROSS ZERO」。正史から封印されていた歴史が今開示される。
 マクロス初のOVA「超時空要塞マクロスII -Lovers, Again-」は生誕10周年記念だったので、正史とは異なるアニメは10年サイクルで作られるように見えますね。正史に連なる「MACROSS PLUS」「マクロス7」は同じ干支「戌年」に作成されています。そう考えると正史に連なる続編は2006年かな。とっても楽しみです。(マクロスFは25周年記念として2007年にイベントが行なわれ、2008年に放送開始しました)。

 「MACROSS ZERO」には正史と異なる解釈がいくつか存在します。
 まずはVF-0関連。
 「超時空要塞マクロス」では可変戦闘機VF-1の存在意義はマクロス艦の艦内サイズを基準にして地球外知的生命体と同じ大きさを人類が手に入れるためのものでした。しかし「MACROSS ZERO」では、反統合同盟のほうが先に可変戦闘機を投入しています。VF-0はそれを統合軍が盗んでロールアウトさせたものらしいです。
 次にプロトカルチャー関連。
 「超時空要塞マクロス」では統合政府内にプロトカルチャーの存在を知っている人はいませんでした。「MACROSS ZERO」に出てくるフォッカーはアリエス・ターナーとの話でプロトカルチャーの話をしていましたが「超時空要塞マクロス」では知らなかったんです。しかも統合政府のお偉方もZEROでは知っていた・・・。このへんに大きな矛盾を感じてしまいます。
 最後にフォッカー関連。
 「超時空要塞マクロス」では士官学校時代もVFシリーズのテスト飛行の際も長髪で、第1話からもずっと長髪だったフォッカーが、「MACROSS ZERO」では短髪で登場します。正直間に合わないだろう・・・と。VF-0にオーバーテクノロジーエンジンを搭載したYF-1とでもいうべき機体は「MACROSS ZERO」から4カ月以上後という設定なのかな?



キャラクター紹介
グッズ紹介NEW



ストーリー・ダイジェスト
 1999年、異星人のものと思われる巨大宇宙船が地球に落下した。地球外知的生命体の存在を知った人類は統合政府を樹立する。しかし、それに反抗する反統合同盟との間で巨大宇宙船の持つオーバーテクノロジーをめぐる激しい戦いが繰り広げられることとなる。
 そして8年後の2007年。多くのベテランパイロットが戦死し、十代の若者が次々と戦場へと出陣していく。

第1章 「海と風と」
 F-14を駆る統合軍パイロット・工藤シン少尉は、敵の新型可変戦闘機SV-51に撃ち落されて南海の孤島、海と風が交わる島・マヤンへと流れ着く。そこは「鳥の人」を崇める神秘の島。
 シンはマヤンでサラ・ノームとマオ・ノーム姉妹に出会う。姉妹は「鳥の人」の巫女だった。
 マヤンにも戦争の渦が忍び寄ってくる。古代のオーバーテクノロジーが眠っていると統合政府と反統合同盟が目をつけたからだ。空母アスカでマヤンへ向かう文化人類学専攻のアリエス・ターナー女史と統合軍エースパイロットのロイ・フォッカー少佐。そして初陣を待つ統合軍の新型可変戦闘機VF-0。
 それまで平穏だったマヤンに戦火が広がっていく。
【使用歌リスト】
20:58 Life Song(福岡ユタカ&Holy Raz)
27:53 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz)

第2章 「地上の星」
 激しい空中戦の最中、フォッカーは自らの教官で戦死したと思っていたDD.イワノフの駆る黒いSV-51を発見する。激しいドッグファイトの末、ガス欠となったイワノフは戦場を離脱する。
 戦火の上がる島の中央にいるマオを助けに向かうシンだが、上空では統合軍と反統合同盟との空中戦が繰り広げられていた。
 不時着してきたVF-0を目の前にしたシンは、過去への恐怖感からVF-0に乗り込んでガンポッドを乱射する。自分のF-14を撃墜した赤いSV-51が再びシンの前に立ちはだかるが、フォッカーの救援により事なきをえる。空母アスカへ乗船したシンはスカル小隊へと配属されて青い副座型VF-0が乗機として与えられ、訓練の日々が続く。
 オーバーテクノロジーである「鳥の人」のパーツを回収する統合軍。アリエス・ターナーの手によって次第にパーツが揃っていく。
 アリエスはさらにマヤン島住民の血液検査を始め、マオ(巫女)の血の中に特異な性質を見出すのであった。
【使用歌リスト】
26:30 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz)
29:20 Life Song(福岡ユタカ&Holy Raz)

第3章 「蒼き死闘」
 マヤン山中の聖地で裸で歌を歌うサラ。「鳥の人」のパーツ(岩)が宙を舞い、草木が花開く様を目の当たりにしたシンは思わず泉に足を踏み入れてしまう。サラはシンが争いをもたらしたせいで岩と大地をつなぐ絆が弱まったと判断。「鳥の人」の復活が近いことを予期する。
 一方マヤンの島をPCS反応を頼りに探索するアリエスはエドガーを連れて先ほどまでサラたちがいた泉に到着。そこでアリエスの先生ハスフォード博士が訪れたと見られる遺跡を発見する。「人類プロトカルチャー干渉仮説」を信奉するアリエスは木陰から現れたサラとシンにハスフォード博士について尋ねる。昔彼に血液を採取されたサラは動揺する。そしてアリエスが修復しようとしている「鳥の人」から流れ出る体液とマオから採取した血液の構造が酷似していたことが判明する。巫女の血が「鳥の人」とつながりがあることが証明されたのだ。
 サラとシンが近づいていることに気を悪くしたマオはシンに宝物を見せに海へ連れ出すのだった。深海でシンが見たものは「鳥の人」の首(エイフォスのかけら)であった。そこへ反統合同盟軍の奇襲攻撃がアスカに対して行なわれる。手も足も出ない統合軍。「鳥の人」の胴体部をただ一人守り迎え撃つはリアクティブアーマードバルキリーに乗ったフォッカーだ。
 エドガーが運んできたVF-0で急いで出撃するシン。マオを守るサラの目の前て戦火に見舞われるマヤンの集落。ノーラに撃墜されるシンだが、エイフォスをノーラがキャッチする寸前で燃えさかる機体で体当たりしてノーラも巻き込まれて墜落するのであった。
 パラシュートでマヤンにたどり着いたシンは、敵の銃撃を避けてやってきた場所でサラの刃から逃れなければならなくなった。その最中、ノーラのSV-51がシンとサラを発見するのであった。
【使用歌リスト】
00:00 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz)
04:30 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz)
08:50 yanyan(Mayan Version)(南里侑香)
12:05 ARKAN 〜part2〜(Holy Raz)
29:06 yanyan(Japanese Version)(南里侑香)

第4章 「密林」
 反統合同盟軍に拘束されたシンとサラ。シンはノーラから厳しい尋問を受ける。 そこにアリエスも連行されてくる。フォッカーは給油中にDD.イワノフの襲撃を受ける。マヤン島に現れたヘリに乗っていたのは昔サラの血液を採取し、アリエスが信奉するハスフォード博士だった。ハスフォード博士はアリエスとサラの拘束を解かせた。「鳥の人」は人類を抹殺するように命じられていたが、自ら首を刎ねることでそれを食い止めたのだという。しかし、人と人、人と大地が争うごとに首と体は近づき「滅びの歌」を歌うといわれている。サラは幼い頃、ハスフォード博士に掟を破ってまでそれを教えていたのだ。サラの記憶に切り込むハスフォード。それに導かれて「鳥の人」の首がやってきた。シンは自ら拘束を解き、「鳥の人」のパーツに乗ってサラを救出してその場を去るのであった。その様子がコクピットから遠目に見えたフォッカーは不意をつかれてDD.イワノフに右エンジンを壊されてしまう。フォッカーはそのままサラたちのいる場所まで飛び、SV-51を撃墜してアリエスたちを救出してその場を脱出する。
 「鳥の人」のパーツがノーラによって撃墜され、放り出されたサラを助けるためにシンはさらに飛びついた。二人は不思議な光に包まれるのであった。シンの手当てを済ませたサラは、なぜシンが自分を助けたのか問いつめてエイフォスを探しに一人森の奥へと消えていった。後をつけたシンはサラに追いつく。ノーラは空母アウェルシュヘットに気化爆弾の投下を要請した。マヤンの森が焼き尽くされていく……。
【使用歌リスト】
17:25 ARKAN 〜part2〜(インスト)
25:50 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz & 鈴村健一)

第5章 「鳥の人」
 焦土と化したマヤン。エイフォスが見つかり、集まるシンとサラ、フォッカーとアリエス。しかし統合軍の援軍が到着する前に、エイフォスとともにサラとアリエスが反統合同盟に連れ去られた。
 サラはハスフォード博士から「鳥の人」を目覚めさせるように言われる。「滅びの歌」を嫌うサラに、滅びと創造は同じことの二つの顔に過ぎないと言われる。そしてノーラは気化爆弾を使用したのは統合軍だと吹き込むのだった。混乱するサラの心が「鳥の人」を呼び寄せてしまう。
 反統合同盟の潜水艦や機動艦隊も、統合軍の空母アスカも宙に浮かび上がる。ブースターとありったけの武装を積んだフォッカーとシンのVF-0が出撃する。 サラの元へと急ぐシンを撃墜せんとするノーラ。その背後にフォッカーが忍び寄り、さらにその背後にDD.イワノフが追撃する。ここにシンvsノーラ、フォッカーvsDD.イワノフの戦いが始まった。
 父ウガイの名を出され心が乱れるサラ。ノーラをいったん退けたシンはPCS反応を頼りにサラ救出を試みるが、サラの目の前でバルキリーの頭部を吹き飛ばされて墜落していく。サラはカドゥンに取り憑かれ、ついに「鳥の人」が目覚め、両軍の持っていたパーツが一つに合体した。「鳥の人」に取り込まれたサラは「鳥の人」から質問を受ける。「我を呼び覚ましたのは汝か」「人は星の海を渡る船を造ったのか?」「人は争うことをやめたのか?」三つ目の答えに窮したサラ。「鳥の人」は争いのカドゥンに取り憑かれた人類の抹殺を決意し、「滅びの歌」が戦場に響き渡る。
 圧倒的な攻撃力で艦隊を一撃で沈めていく「鳥の人」。ハスフォード博士は息を引き取り、その威力を目の当たりにした統合軍は反応弾の使用を許可する。意識を失っていたシンが目を覚ましたとき、またノーラが襲ってくる。フォッカーとDD.イワノフの戦いも激化の一途をたどる。そしてシンを追いつめたノーラが「鳥の人」の前に位置どったとき「鳥の人」の砲火がノーラを焼き尽くすのであった。ノーラを失ったDD.イワノフは怒りに任せて「鳥の人」に特攻を仕掛ける。しかしそれも届かずに「鳥の人」の一斉射で撃墜されてしまう。
 フォッカーはアリエス救出に向かい、シンはただ一人「鳥の人」へ、いやサラの元へ向かうのだった。武器を持って対抗しようとするシンだったが、マオの心の声がシンに届き、シンはサラの心に触れるのであった。そしてシンは武装を解除し「鳥の人」に接触することに成功する。
 しかしそこに空母アスカからデストロイド・モンスターが出現。反応弾を4発発射する。サラはシンを守るため、反応弾の爆発を「鳥の人」の防御壁の内部に限定する。そうしてマヤンとシンを守った「鳥の人」は彼方へと飛び立っていった。フォッカーに助け出されたアリエスだったが時すでに遅く息を引き取る。
 シンのバルキリーは制御を失い墜落していったが、サラの魂がバルキリーを包み、海へと不時着し、再び大空へと飛び立つのであった。マオはいう。「やっぱりシンは鳥の人ね」と……。
【使用歌リスト】
17:10 Horobi no Uta(Holy Raz & Fumio Onuki)
28:24 Horobi 2(Holy Raz & Fumio Onuki)
30:40 ARKAN 〜part1〜(Holy Raz)


 MACROSS ZEROは前の巻と次の巻との間に制作時間がかなりかかり、しかも話が飛んでいるので一気に観てくださいませ。
 そしてマクロスFにもZEROのオマージュがたくさんあるので、Fファンも必見です。「レジェンド・オブ・ゼロ」はZEROを観てから観なおすとまた別の印象になると思います。
 神話の要素が高い作品ですが、マクロスの中ではかなり重要な位置取りを占める作品に仕上がっています。ZEROを評価しないでマクロスシリーズは評価できないでしょう。河森監督の意図が最も反映されている作品なのではないでしょうか?





主要スタッフ
 製作・著作:ビッグウエスト、バンダイビジュアル
 制作:サテライト
 原作:河森 正治
 監督:河森 正治
 シリーズ構成:河森 正治
 脚本:大野木 寛
 キャラクターデザイン:齋藤 卓也
 ロイ・フォッカー デザイン原案:美樹本 晴彦
 メカニックデザイン:河森 正治、石垣 純哉、宮武 一貴
 メカニックアート:天神 英貴
 特技監督:板野 一郎
 スペック設定:Dr.千葉
 美術監督:太田 大
 色彩設計:海鉾 重信
 音響監督:三間 雅文
 音楽:D島 邦明
 編集:竹内 康晃
 3Dビジュアルテクニカル:Bun Sadaka



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